第30番 慈雲寺
【歴史・由来】
開基の年代は分かっていません。再興のときは、高山素玄寺の末寺として、素玄五世清懶徽猷和尚が金森氏四代頼直から任命され、山号を旗鉾山、寺号を慈雲寺としたようです。 金森頼直には明暦3(1657)年の江戸大火の折、駿馬山桜にのって危難を免れたという伝説があります。 この年に、幕府へヒノキの角物千本を献上しました。 慶安3(1657)年、高山の大隆寺を建立しました。万治2(1659)年、萩原の久津八幡を修復、翌3年に古川杉本社殿を再建、同年に丹生川の千光寺を再興しています。後に病に見舞われて、自身が剃髪し、立軒素白と号しています。 清懶徽猷和尚の寂年が延宝7(1679)年なので、慈雲寺の再興は、同じ時代です。別の場所にあった庵の誕生は、次のように伝えられています。 ―乗鞍岳にたなびく5色の雲を不思議に思った長者が駆けつけると、僧がいた。寛忠と名乗る。自宅へ招くと、十一面観音菩薩像を床の間に安置したので、喜んだ長者は庵を結び、慈雲庵と名付けた。村人は僧の話を聴きに集まり、旗鉾寺と呼んだ。 丹生川町は現在、国道158号が幹線となっていて、奥飛騨温泉郷の長野県境に安房トンネルが開通してからは、飛騨と首都を結ぶ重要な道となっています。乗鞍スカイラインは近年、マイカーが規制されました。一方で、山岳の自然を堪能できる五色ヶ原という秘境が、ハイカーを迎え入れるようになりました。 国道はかつて丹生川街道と呼ばれている時代があり、平金鉱山と高山方面を結ぶ路線としても重要でした。 平金は銅山で、旗鉾の南約3キロの乗鞍岳山麓にありました。昭和初期までは3000人もの鉱山町があり、観光の面でも、そのころから乗鞍岳登山や平湯温泉湯治客などでたいへんにぎわいました。 休息で寺へ立ち寄る訪問客が後を絶たず、振る舞うお茶が間に合わなくて、当時の住職が白湯を出してしまったために「湯沢山茶呉寺(ゆだくさん・ちゃくれんじ)」と呼ばれたほど、山村の寺はにぎわったようです。現在は静かなたたずまいを見せています。 寺院が建立され、本尊の十一面観音が置かれたのは、享保17(1732)年、六世の代のことです。 現在は、東洋医学の治療所として、鍼灸治療、漢方相談をしています。往診もできます。0577・79・2046(2047)小林孝明へ。
概要 |
第30番 旗鉾山 慈雲寺(じうんじ) 曹洞宗 ◇本 尊 釈迦牟尼佛 ◇観 音 十一面観世音菩薩 ◇円空仏 韋駄天・聖観音 |
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所在地 |
〒506-2251 高山市丹生川町旗鉾285 tel. 0577(79)2046 fax.0577(79)2047 |
納経受所 |
本堂内 |
拝観料 |
なし |
駐車場 |
あり・門前に普通 乗用車5台・バス1台 |
Eメール |
moonsun@arion.ocn.ne.jp |
アクセス |
29番 禅通寺 → 30番 慈雲寺 ◎距離:約22.5km ◎車で約25分 |
年中行事 |
大般若法会/1月4日 彼岸法会・護持会・総会/3月春 花まつり法会/4月下旬 御開山忌法会/7月下旬 お盆供養会/8月15日 秋彼岸法会/9月秋 卒塔婆供養会/11月初旬 |