第11番 安国寺
【歴史・由来】
飛騨には「春慶」と呼ばれる漆塗りの技法が江戸時代の初めから今日まで連綿と伝えられています。その祖、成田義賢は子宝に恵まれず、一心不乱に観世音菩薩に祈願され、その甲斐あって念願の子、三休正利が授かったといわれます。両親は三休が幼い頃から「喩え、親の恩を忘れたとしても、観音菩薩の御恩を決して忘れてはならない」と諭されていました。御仏の加護を心身に感じていた三休は、後に如意輪子安観世音菩薩像と厨子を安国寺に奉納しました。子授けの功徳が強い観音として多くの信仰を集めている所以です。
観音経には子授けと安産について説かれています。まず、始めに「子供を授かりたいと思ったら、観音様を真剣に念じなさい、そうすれば、生まれる前から福徳知恵の基や人々から愛され敬われる素質を備えた子供が授かります」と親となる父母の心の持ち方が大切だと説いています。子宝が授かれば10ヶ月の間、さまざまな困難があっても良い子が生まれるようひたすら念じ、その上「出産は無量の苦しみではあるが、神通力を具えた観音様はいろんな方法を用いて、頼めば、必ず救ってくださる」と安産の功徳を説いています。それ故に子安観音は両腕に赤子を抱き、慈母の優しい眼差し、しかもその中に凛とした父の気を備えられているのです。常に観音様を念じ、御名を唱え、礼拝供養いたしましょう。
飛騨安国寺は室町幕府を築いた足利尊氏・直義が66国2島に設けた寺院の1つです。寺領300石、7堂伽藍に9ヶ寺の塔頭を有していましたが、戦国時代の兵火により開山堂と経蔵を残して、そのほとんどを焼失しました。その後、飛騨を治めた金森家、三代重頼の発願で寛永年中、南臾和尚を中興開山として迎え、再建され現在に至っています。
室町初期、応永15年(1408)に建立された経蔵は、萩原町奥田洞(現在、下呂市)奥田弾正頼親の寄進によるものです。禅宗(唐)様造り、に和様風が加わった建築様式は中世の特徴を現しています。内部の輪蔵は日本最古のもので、外観からは想像できない圧倒感があります。納められているのは元版一切経5397巻です。当山塔頭、南陽軒の本源一公都寺が中国杭州、大普寧寺に渡り、請来したものです。輪蔵上部の欄間は8面すべて異なる彫刻が施してあります。国宝として指定されている経蔵は法隆寺、唐招提寺、安国寺の3件で、飛騨としても唯一の指定です。
国指定重要文化財「瑞巌和尚塑像」は安国寺の一番最初の和尚様の御像で、観応元年に入滅後、40年を経て明徳3年(1392)に作成されたもので、火葬した折の骨灰を粘土の中に塗りこんだもので、極めて珍しい塑像です。像の胎内に納めてあった経文3点、須弥檀とともに昭和37年に指定されています。
概要 |
第11番 太平山 安国寺(あんこくじ) 臨済宗妙心寺派 ◇本 尊 釈迦三尊佛 ◇観 音 如意輪観世音菩薩 ◇円空仏 阿弥陀仏 |
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所在地 |
〒509-4107 高山市国府町西門前474 tel. 0577(72)2173 fax.0577(72)2173 |
納経受所 |
玄関 |
拝観料 |
500円 |
駐車場 |
門前に普通乗用車30台 バス3台 |
Eメール |
hidaankokuji@kokufu.net |
アクセス |
18番 恩林寺 → 11番 安国寺 ◎距離:約16km ◎車で約20分 |
年中行事 |
大般若修正/1月1日~1月3日 蛻庵稲荷祈祷会/1月末~2月始(不定期) 春期彼岸・涅槃会/3月(不定期) 降誕会/5月(不定期) 施餓鬼/8月2日 開山忌/11月(不定期) 除夜鐘/12月31日 ■ご開帳 不定期 |