第8番 正雲寺
【歴史・由来】
正雲寺は高山城があった城山の西側山麓に位置します。市街地を見渡すことができる絶景です。城山は周囲のほとんどを家並みに囲まれていますが、時代を経ても森林自体の自然は失われていません。市街地から1歩踏み込むと静かな別世界になり、市民がくつろぐのには貴重な場所となっています。
城山公園は、高山市民に最も親しまれている公園でしょう。緑の文明学会が昭和61(1986)年に全国の公園から、城山公園を「森林浴の森百選」の1つに選んでいます。
慶長12(1607)年、縁室良淳和尚を開山として、現岩手県北上市近郊に創建されました。明治維新で檀家が分散して、寺院の存続が危ぶまれていました。
飛騨古川の林昌寺の松下器外和尚の発願で地方信徒に諮ったところ、飛騨高山の永田吉右衛門が開基となることに決まりました。明治37年、寺号移転によって大本山永平寺の六十四世重興大休悟由禅師を拝請して開山しました。移転までは岩手県の岩崎村にあり、永徳寺という別の名称でした。移転の年の翌38年には、永平寺の直末となりました。岩崎と高山とは約500キロも離れています。金森氏六代頼が元禄5(1692)年に移封を命じられた出羽上山よりさらに100キロも遠くです。遠方で再興したことに、不思議な因縁を感じます。
遠く離れた飛騨の地で再興したことに多大な貢献をした人は、永田吉右衛門(1873―1918)です。初代高山町長で、3期務めました。高山町は高山市の前身です。飛騨銀行頭取、飛騨電灯会社の重役などを歴任した富豪。多趣味で、俳人としては不及の号で花蔭会の一世宗匠となっています。高山市と八王子市の名誉市民で芥川賞の選考委員だった瀧井孝作は、小説『俳人仲間』(新潮社)に「町一番の富家」「五松庵不及宗匠といわれた」などとして永田吉右衛門を登場させています。
本尊は釈迦牟尼仏を祀っていますが、札所観音としては、延命観世音菩薩が祀られています。
御詠歌 | なりわたる めぐみのみねの ときのかね |
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概要 |
第8番 慈恩山 正雲寺(しょううんじ)曹洞宗 |
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所在地 |
〒506-0821 高山市神明町3の112 tel. 0577(32)3950 fax.0577(33)8244 |
納経受所 |
玄関 |
拝観料 |
なし |
駐車場 |
境内に乗用車10台 マイクロバス5台 |
アクセス |
7番 清伝寺 → 8番 正雲寺 ◎距離:約1.3km ◎車で約5分 |
年中行事 |
転読大般若会/1月7日 御開山報恩忌/6月5日 お盆施餓鬼/8月15日 秋彼岸会塔婆供養/9月22日 成道会/12月8日(内献) 春彼岸会/不定期(内献) |