第9番 大幢寺

【歴史・由来】

JR飛騨一ノ宮駅に隣接する大幢寺は境内近くにある国指定天然記念物「臥龍(がりゅう)のサクラ」で知られています。樹齢千百年のこの桜は通称臥龍桜と呼ばれ、本尊十一面観音も「臥龍観音」の名があり春には花見客でにぎわいます。
「臥龍」の名は二十世道仙和尚が命名したものであり、それまでは「大幢寺の大桜」と呼んでいました。もともとは1本の樹であって「龍が臥している(寝ている)」という意味であります。
平成に入って樹勢が衰えましたが、文化庁・県等の専門家の6年間にわたる調査の結果、村民あげての(平成17年2月1日高山市に合併以前は宮村)地場産セラミック炭混入の一大土壌改良事業と保護事業に3年を費やしました。平成14年には樹勢回復し、以前にも増して見事な花をつけました。古老大江稔(元村長)氏曰く「桜ほど人間の気持のわかるものは無い」と。多くの人々の誠の願いが通じたのではないでしょうか。大江氏の育てた子桜が各地で繁栄しています。
開山は高山市雲龍寺第十世伝奥和尚であり天文8年(1539)に開かれています。その後天正8年(1580)三木三澤が旅の僧より十一面観音像を譲り受け大幢寺に安置されました。天正年間に金森氏と三木氏の戦いにより、寺は焼失したが、金森長近公が本尊十一面観音像を以前の姿に復元し大幢寺本尊として安置されました。その戦火の折、隣の信心深い次郎七という者が観音様を心配し、参道の途中まで来た時「次郎七よ、心配することなかれ。我ここ迄退がれ来た!」とお姿を目前に現わされました。その地を観退きと名付け、聖地としています。その後18世紀に起きた大原騒動の折の犠牲者の名の刻まれた墓碑が、その聖地に建てられています。
また、座禅石には次の民話があります。
――和尚が岩の上で坐禅をしていると、白髪の翁が現れて、「われは一ノ宮の神である。和尚の威徳を聞き、法を授けてほしい。その報恩に何なりと申し出よ。」和尚は「読経のさまたげとなる川の流れを止めてほしい。」翁は忽然と姿を消しアジメに命じて川の水を地下に潜らせました。
――和尚とは本寺高山雲龍寺の開山了堂和尚のことと推測されます。以来当地では、アジメを食することは、ご法度であります。

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概要

第9番 神護山 大幢寺(だいとうじ) 曹洞宗

◇本 尊 十一面観世音菩

◇観 音 十一面観世音菩薩

◇円空仏 韋駄天

所在地

〒509-3505 高山市一之宮町288

tel. 0577(53)2033 fax.0577(53)2033

納経受所

玄関

拝観料

なし

駐車場

門前に乗用車8台・バス2台

アクセス

8番 正雲寺 → 9番 大幢寺

◎距離:約8.5km

◎車で約15分

年中行事

除夜祭大般若・除夜の鐘/1月1日

涅槃法要(だんごまき)/3月第2日曜

臥龍桜俳句会/4月(不定期)

花まつり(甘茶)/5月5日

旧盆法要/9月第1日曜

成道忌法要/12月第1日曜


■新しい行事

写経会/不定期